いつも出張の時、飛行機で暇なためWalkmanで動画を見ているか寝てるかNewsWeekを読んでいるんですが。
動画を見る気にもなれず水曜日じゃないからNewsWeekもなく。と言って『翼の王国』の今月号は既に読み終わっていた、ということで珍しく『週刊東洋経済』を買ってみました。
今週の特集は「最強のサービスはこれだ!~売れない時代に売れる50の法則~」
何となく興味は惹かれるタイトルですよね。
定番のTDLから北九州市の時計店など、様々な手法や工夫が50例紹介されていました。業種も多岐に渡るものの、自分の仕事に関係ある業界の例などは一例もなく、直感的にキュピーンと来るものなんてあるはずもなく。
けれど、読んでいるとじわじわと「ああ、こう応用してみるのはいいかも知れない」と思えるものはありました。と、いうよりは恐らく全ての事例について現在の仕事に応用は利かせられるんでしょうね。
君主論ブームを思い出す
思い出したのは、ちょっと前にあったマキャベリの『君主論』に群がるサラリーマンたち。
マキャベリ自体が自論を実行に移して成功したことがないとかその辺の批判はともかく、あれはあれで考えることや応用できることはあると思うわけです。ところが読んだ人で実際に応用させている人を見たことがない。恐らく、読んだだけで満足して理解した気になっているんでしょうけれど、どうしてこう、全く意味のないことを日本人はやりたがるのだろう、と。
はやってるから、或いは経済や経営、人事管理などのハウツー本やビジネス書評などで紹介されてたから読んだというだけなんでしょうけれど、それなら読書する時間を営業や部下と話す時間に充てた方がよほどマシだということに気づかないのかな?
学んだ気になったという雰囲気
だいいち、紹介されてる本をそのまま読んだところで、いったい何の役に立つんでしょうね。どんな本でもいいから、惹かれたものを手にとってちょっと開いて、それで読みたいと思ったものを購入して読み進めればいいのに。
それが歴史小説なら特に有効で。
歴史は人の営みの積み重ね、それを切り取って掘り下げたものが歴史小説ですから、そこには必ず色々なことのヒントになるものが散りばめられている。(※ファンタジーなどは別。特に田中芳樹などの害にしかならないものは論外)
重要なことは、読書の結果、そこから何を読み取り、どう活かしたかということじゃないでしょうか。
成す人と成せない人の違い
簡単なことではありません。『君主論』だろうが宮城谷文学だろうが、そこに書かれているのは偉大な先人たちの思想や足跡であり、彼らが偉人であるのは我々凡愚のように「徹底できない」ということがなかったから。人格を透徹し、思想を深め、応変の根底に揺るがない意思を持つ、それはとてもじゃないけれど現代人にできることではない。ただ、そうする努力をしたり、そのことに気づくことは決して無駄ではない、と思います。
そうして、信念を持って事態や社会に対処していく。
きっと、彼らが「売れない時代に」考えて変えたのは手法であり、仕事に対する考え方を変えた訳ではないと思います。もちろん、そんなことは記事になかったので正確にはわかりませんが。
その点については、東洋経済で組まれていた特集に出てくる企業の経営者たちは、ミニ偉人であると言えるかも知れません。
読んで理解した気になって何も考えない人間は、対極。
さて、今週の『東洋経済』を読んで、仕事について信念を持ち、変化する事態において対応し、記事をあくまでも「参考」として応用できてる人はいったい何人いるんでしょうね。
……まあ、自分もそれができない、という点では大衆という名の愚民の一人であることは間違いないわけですが。