ちょっと調べていたらこんなのがひっかかった。
今中学2年で海外高校に進学したいと思っています。(Yahoo知恵袋での質問)(リンク切)
私立学校のパンフレットなどを見てみても、やたらと海外研修だの留学だの、国際化だの英語だの書いてあるのが多いけれども、中学・高校生に英語力なんて必要ない。
ただの文法や文章を読むのに必要な語学力程度の英語をやるのはいいけれども、海外へ行かせるのは少なくとも「母国のことを説明できるようになってから」で良い。つまり、それができない中高生は行く必要はない。
日本人のあなたは日本のことを説明できるか
フランス人に言われたことがあるのだけれども、
「日本人は外国のことを聞きたがるくせに、自分の国の説明をしてくれない」
これほど恥ずかしいことはないだろう。
コレ何、アレ何、と聞きまわる幼稚園児でさえ、自分のことを聞かれれば「何歳?」「4歳」と答えるだろうに、日本人はそれすらもできないということだ。
その時は、「説明してくれない、のではなく、説明できないのだ」と答えざるを得なかったが、「なぜ母国のことを説明できないのか」と聞かれてさすがに答えに詰まった。
正直に答えるならば「まず説明できる表現能力が母国語ですら練習させられていないこと、それから母国のことを学ぶ機会を教育現場で一切与えられていないこと」になるのだが、幾らなんでもそれは自国の恥を晒すことに他ならないので適当に誤魔化した。
「自分のことほどよくわからない、と言うじゃないか」と。
哲学的じゃねぇか、なんて笑って終わらせてくれるかと思ったら、真面目な顔で首を傾げていたから、実際相当おかしな現象なのだろう。あまり気にしていなかったが、確かに考えてみれば妙な話ではある。
教育現場で学ばされなくとも、自分の国がどんな国なのか、自分の言葉で表現できないというのは異常だ。
が、自分でも考えて見て欲しい。
「1分間で自己紹介してください」
なら何とかなるかも知れないが、
「1分間で自分の国を紹介してください」
と言われてどう説明するだろうか。
ありきたりな日本像
秋葉原というデカイ電気街がある。
京都や奈良という1000年の歴史を持つ古都がある。
トヨタやホンダなど自動車産業が強い。
天皇はいるが立憲君主制ではない。
外国人が聞いて喜びそうなことは意外と出てこない。旅行会社が発行しているパンフレットやフライヤー程度に書いてるレベルなら、それを読んで日本に来ているのだから説明する必要はない。
少し気の利いた人ならば、習俗などを交えて説明できるかも知れないが、大半の人は旅行会社のパンフレットレベルだ。
中高生ならなおさらだろう。
偏差値50~65レベルの高校生が80人くらいいる教室で、授業前のコラム的な時間として聞いてみたことがある。だいぶ前の話だから、当然、ゆとり前の生徒たちだ。
「3分時間をやるから、3~5行程度で日本を案内してくれ」
正確な統計を残している訳ではないが、凡そ半分の生徒が「侍・時代劇」など江戸を中心としたものか「森林が多い」など地理的なもの、または「天皇・皇居・東京」などの都民ならではのものだった。
※ただしこれは、恐らくその時にやっていた日本史や世界史・政治経済・地理など社会の授業に関係しているからだろうと思われる。
2割程度が「核家族化・高齢化社会」など現代日本について、1割が習俗・民族に関すること、他は白紙だった。
ゆとり前の生徒でこんなものだ。
そのクラスは文理混合だけれども割と真面目で、受験勉強以外で興味を持っていることを自学しているような生徒が多いクラスだったけれども、そのレベルでこの程度。
学校で教えるべきことは何か
今の中高生なら、より悪化していると思われる。
母国のことを母国語で説明することすらできない子供を、海外へやって、一体何を学ばせようというのか。英語やその国の文化など、身についたように見えても所詮上っ面だけで、何も得るものなどないということは明白だ。
学校はまず「日本」という授業を設けよ。
カリキュラムやシラバスなど作らず、自国のことを落ち着いてゆっくり学べる(考える)ことのできる時間を設定するがいい。
次に「国語」を他教科の倍の時間、行うべきだ。
残りの時間を、その他教科で振り分ければ良い。
自国のことを知らず、母国語も碌に操れず、英語と理数系ばかりを強化して一体何になるのか、理解しかねる。
……もっとも。
母国を理解している教員がいるのかどうか、まずそこが怪しいのだけれども。